基本は「迷ったらもどれ」です!

迷ったら戻れ。

これは、山の先輩たちから度々聞かれる言葉です。
しかし自分の経験上、迷った時に戻れるかというと、実際には戻りにくいものです。
それはなぜか?
はっきりって面倒くさいんですね。登っていて迷う。少なくとも上には登っているわけですから、これを一旦来た道を戻るということは来た道を下り、また登ることになるのですからね。なので、できるだけショートカットしてでもなんとか登りながら正規の登山道に復帰したいと思ってしまいます。
大概GPSで見るとほんの少し外れただけに見えるので「ななめにすすめば戻れるかな?」と考えてしまう。

でも、ほとんどの場合その考えは逆に辛い選択になります。

去年の春先、八ヶ岳の主峰赤岳に登山に行った時のこと、残雪期のため文三郎尾根への取り付きが見つけられず、しばらく谷沿いに踏み跡があったため進んでいました。登りながらもGPSで確認していると、すこしずつ正規の登山道からは外れている様子。「あ、やはり間違っている」と思い。まず考えたのが「斜めに登りながら正規の登山道(尾根)にも合流できないかな?」ということ。
「迷ったら戻れ・・・だけど、戻っても正規の取り付きの場所が見つけられるだろうか?」と言う気持ちもあり。
また更に、後ろからもボクが正しい道を進んでいると思っている後続の登山者も数名。「うわ。道間違ったなんて思われるの恥ずかしい」

進んできた道から斜めにショートカットできるか?と、正規の登山道方面を見上げて見るとかなりの斜面。残雪のため登れないことはなかったのですが、藪もあり。
藪漕ぎが嫌いなボクはここで断念「戻ろう」。
来た道を引き返しました。ボクの後ろに付いてきた人たちにすれ違い時に「ここは正規の登山道ではないようなので戻ります」と声掛け。

しばらく戻って、GPS で確認しながら取り付きあたりより少し戻ったところから再度注意しながら歩みを進めると、正規の登山道の尾根への取り付きを見つけることが出来ました。

「やれやれ」と思いながら登り始め、ある程度登ったところで、さっきボクが間違えた道が見下ろせました。
そこには間違った道をそのまま進んで来たと見られる二人の登山者の姿がみえました。確かにそのまま進めば同じ道に合流出来る感じでしたが、登山道もないざれた道で、雪もなくかなり難儀をしているようでした。

心配でずっと気にかけて見ていたのですが、ボクは先の状況まで見下ろせる位置にいたのでその登山者の状態がよくわかりました。状況的には登ることは可能だが、降りるのはかなり困難な様に見えました。つまりもう前に進むしかない状況です。もし登った先でどうしても前に進めない状況があったらエンドです。

エンドと言っても、死に直結するわけではないでしょうが、ここまで登ってきたのも辛かったでしょうにそれ以上に気を遣いながら下山することになるでしょう。ボクはその状況をみて「あそこで本当に戻って良かった」と思いました。

その他に見ていてコワイと思ったことが一点

正規の登山道ではないのでまさかそこに人がいるとは思わないので落石をされる恐れがあるということです。

自分が通ってきた道の上部にいるならば、後続に落石を見舞わせる訳にはいかないのでかなり慎重に歩を進め、もし落石した時も声をだす事が出来るでしょうが、人がいるとは思わないところでは気も緩みますし、もし落石させても「誰もいないはずだからいいや」と声も出さないかも知れません。

そういう点からも「迷ったら戻れ」というのは大事だなと身にしみておもいました。

ちなみにその正規のルートではないところから登ってきた登山者の方は無事に登頂されました。後で休憩時にお会いしたのですが、ホコリだらけでかなり疲労困憊していた様子でした。とにかく無事でなによりでした。

それでは

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